胃がん検診は何歳から?検査の内容・費用と胃がんを早期発見する方法

胃がん検診は何歳から受けるべき?受診時期や頻度・費用

胃がんについて不安を抱えるものの、胃がん検診を何歳から受けるべきか、迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、国が推奨する胃がん検診の開始年齢や検査の頻度、費用の目安、自治体の補助金の有無などについて解説します。年代に応じた適切な検査の受け方を知ると、胃がんの早期発見につなげやすくなります。
国が推奨する胃がん検診の開始年齢は40歳から
厚生労働省の指針では、胃がん検診は原則40歳以上の方を対象としています。*
具体的には、問診に加えて胃部X線検査(バリウム検査)は40歳から、内視鏡検査(胃カメラ)は50歳以上を対象に実施するよう示されています。
これは、対象年齢より若い世代では胃がんの罹患率が低く、検診の有効性が科学的に確認されていないためです。そのため、国は対象年齢に達してからの受診を推奨しています。
ただし、一部の自治体では独自に年齢や検査方法を調整している場合もあるため、住んでいる地域の自治体の案内を確認することが大切です。
いずれにしても、40歳を一つの目安として、定期的な検診を検討することが望ましいといえるでしょう。
内視鏡検査(胃カメラ)は2年に1回の頻度
国は、50歳以上の方に対して、胃がん検診として内視鏡検査(胃カメラ)を2年に1回の頻度で受けることを推奨しています。一方、胃部X線検査(バリウム検査)は年1回の受診も可能です。*
検診には、胃がんで亡くなるのを防ぐといった利益がある一方で、偽陽性や過剰診断、偶発症などの不利益も伴います。
そのため、自分の年齢や体調、既往歴に応じて、対象年齢と受診間隔を守り、定期的に検査を受け続けることが重要です。
胃がん検診の費用
胃がん検診の費用は受診方法によって異なり、自治体のがん検診を利用すれば、自己負担はおおむね2,000〜3,000円程度で受けられます。
例えば、横浜市では2,500円、八王子市では3,080円と設定されており、70歳以上や低所得者を対象に無料となる制度を設けている自治体もあります。
費用を抑えながら継続的に検診を受けるために、補助制度や地域の案内を事前に確認するのが大切です。
なお、人間ドックなどの自由診療では、2〜5万円以上かかるケースもあります。健康保険組合によっては、自治体検診の領収書を提出すると補助金が受けられる場合もあるため、事前に確認してみましょう。
胃がん検診を定期的に受けるべき理由

胃がんは初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。発見が遅れると治療が難しくなるため、症状が出る前の段階で定期的に検診を受けるのが重要です。
ここでは、胃がん検診を継続して受けるべき理由について、主に以下の2つの視点から詳しく解説します。
胃がんは初期症状がわかりにくく早期発見が困難
胃がんは、初期の段階では自覚症状がほとんど現れず、異変に気づいたときにはすでに進行しているケースも少なくありません。特に初期の胃がんは、健康診断の血液検査や日常的な体調の変化では見つけにくいため、症状がない状態での検診が重要とされています。
実際に、早期に発見された胃がんの5年生存率は90%以上と報告されており、内視鏡による治療で済むケースもあります。*
一方で、進行がんでは外科手術や抗がん剤治療が必要になる場合が多く、長期入院や副作用など、身体的・心理的な負担も大きくなります。
だからこそ、症状がなくても定期的に胃がん検診を受け、早期発見につなげるのが非常に重要です。
*国立研究開発法人国立がん研究センター|がん種別統計情報 胃
若年層でも胃がんのリスクはあるため定期的な検診が重要
胃がんは中高年に多いとされますが、20〜30代でも発症するケースがあり、若年性胃がんとして報告されています。人生いつ何があるかは人それぞれで、若いからといって安心はできません。
また、若年層では進行がんの状態で見つかることも多く、早期発見には定期的な検診が不可欠です。
胃がんの主な原因
胃がんの発症には、以下のような要因が関与するとされています。
・ヘリコバクター・ピロリ菌の感染
・高塩分の食事
・喫煙
・過度の飲酒
ヘリコバクター・ピロリ菌とは、胃の粘膜にすみついて慢性的な炎症を引き起こす細菌です。この炎症が長期的に続くと、萎縮性胃炎や腸上皮化生といった前がん状態を経て、胃がんへ進行する可能性があります。*
ピロリ菌は、乳幼児期に口から感染するとされており、汚染された水や食べ物、家族内での食器の共有などが主な感染経路と考えられています。
胃がん検診のメリットとデメリット|がん検査の理想の流れ

胃がんは早期発見によって治療成績が大きく変わるとされているため、定期的な検診が重要と述べてきました。しかし、検診にはメリットだけでなく注意すべきデメリットもあります。
ここでは、胃がん検診を受ける際に知っておきたいメリットとデメリットを比較し、どのような流れで検査を受けると早期発見につながりやすいのかについて解説します。
胃がん検診のメリットとデメリット
胃がん検診の胃部X線検査と胃内視鏡検査は、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
【胃部X線検査(バリウム検査)】
| メリット | ・胃の広範囲を短時間で撮影でき、検査枠が多く受けやすい ・粘膜の表面変化を調べやすく、技師対応でスムーズに受けられる |
|---|---|
| デメリット | ・放射線被ばくがある ・バリウムによる便秘の可能性がある ・粘膜下の病変を見逃すことがあり、精度は内視鏡に劣る場合がある |
【胃内視鏡検査(胃カメラ)】
| メリット | ・胃の内部を直接観察でき、早期がんを発見しやすい ・病変が見つかった場合、その場で組織を採取できる |
|---|---|
| デメリット | ・挿入や組織採取による出血や粘膜損傷などの偶発症のリスク ・嘔吐反射や不快感が強く、心理的負担を感じることがある |
胃がんを早期発見するがん検査の理想の流れ
胃がんの早期発見には定期的な検診が重要ですが、病院での検査を頻繁に受けるのは、時間や費用、身体的な負担の面から現実的ではないかもしれません。
そこで理想とされるのが、段階的に検査を進める「スクリーニング検査」です。これは、症状のない人を対象に、病気の有無をふるい分ける目的で行われる新しい概念の検査の流れを指します。
まず、体への負担が少なく継続しやすい一次スクリーニング(がんの有無を調べる検査)を定期的に受け、その結果、リスクが示唆された場合には、二次スクリーニングとして、がんの種類や部位を特定するための画像検査や内視鏡検査などに進みます。
さらに、必要に応じて組織検査などの精密検査を行い、確定診断や治療方針が決まります。このように、段階的に検査を進めると、胃がんの早期発見だけではなく心身の負担軽減にもつながるでしょう。
胃がん検診と一次スクリーニングを活用して胃がんの早期発見を

胃がんの初期は自覚症状が出にくく、発見が遅れると治療が難しくなる場合もあります。そのため、定期的な検診によって早期に発見し、適切な治療につなげることが重要です。
特に、身体的負担が少ない一次スクリーニング検査を定期的に活用し、必要に応じて内視鏡や画像検査などの二次検査へと進む段階的な検査体制が理想とされます。
無理のない範囲で検査を継続することで、将来のリスクに備えるとともに、自分や家族の健康を守ることにつながります。