N-NOSEの使用前に知っておきたいポイントは?精度や、理想のがん検査の流れについても解説

N-NOSEとはどんな検査?

N-NOSEの注意点を解説する前に、まずはN-NOSEがどのような検査か解説します。
高い嗅覚を持つ線虫を用いて23種のがんリスクを判定
N-NOSEは、体長1mmほどの小さな生物である線虫の一種、C. elegans(シー・エレガンス)を活用したがん検査です。
線虫は嗅覚がすぐれており、においの識別に関わる嗅覚受容体遺伝子の数は犬を上回ります。好きなにおいに集まり、嫌いなにおいから離れる性質を持っており、がん患者の尿に含まれるわずかなにおいに引き寄せられるため、がんを識別できるのです。
N-NOSEでリスク判定ができるがんは23種類で、ほぼ全身をカバーしています。(カバー率99%*1)
<カバーできるがん種>
・口腔がん(舌がん、歯肉がんを含む)
・咽頭がん
・喉頭がん(声門がんを含む)
・甲状腺がん
・食道がん
・肺がん
・乳がん
・胃がん
・消化管間質腫瘍(GIST)
・肝臓がん
・胆のうがん
・胆管がん
・すい臓がん
・腎臓がん
・大腸がん
・子宮頸がん
・子宮体がん
・卵巣がん
・精巣がん
・前立腺がん
・膀胱がん
・皮膚がん
・血液がん(悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病を含む)
一度の検査で全身のがんリスクを調べられるため、利便性の高い検査といえます。
*1 厚生労働省が集計対象としたがん種に限定した場合の数値「全国がん登録罹患数・率 報告2019」に基づく。がん患者全体に対するN-NOSEのカバー率。
少量の尿のみで痛みのない検査
N-NOSEは、少量の尿を採取して専用キットで提出するだけで受けられます。内視鏡、バリウム、採血などによる痛み・苦しさがない点が特徴です。
専用のキットを使って自宅で採尿ができ、検体は郵送できるため、病院に足を運ぶ手間がかかりません。身体的な負担や時間的な制約でがんの検査をためらっていた場合にも、受けやすい検査といえるでしょう。
実用化までに豊富な臨床研究データが蓄積された検査
多くの臨床研究によって蓄積された豊富な検証結果に基づき、N-NOSEは2020年1月に実用化されています。
2024年には1,664名のがん患者を対象とした大規模な臨床試験結果が論文として公表されており、全身20種以上のがんに対して、ステージ0~1の初期のがんであっても感度は70~80%でした。
これらの研究の結果から、N-NOSEによって自覚症状がない初期のがんでも発見できる可能性が高いと示されています。
N-NOSEを受検する流れ
N-NOSEは、以下の手順で受けられます。
1.検査キットを申し込む:N-NOSEの公式WEBサイトから申し込み可能です。
2.検査登録を行う:尿の検査登録には、マイページ登録が必要です。検査キットが届いたら、マイページにログインします。
3.尿を提出する:検査キットで採尿し、当日にポストへ投函します。
4.検査結果を確認する:尿の提出後、4週間から8週間程度でマイページに結果が表示されます。
検査結果は基本的にマイページで確認しますが、有料オプションをつければ紙の報告書も受け取れます。
N-NOSEを受検する前に知っておきたい使用上の注意点

N-NOSEの基本的な仕組みや受検の流れを踏まえて、受ける前に知っておきたい使用上の注意点を解説します。信頼性の高い検査結果を得るためにも、受検できない条件や年齢制限、採尿時のルールなどを確認しておきましょう。
検査を受けられない人がいる
N-NOSEは多くの人が利用できますが、体調や状況によっては受けられない場合があります。たとえば、以下に当てはまる人は受検できません。
・体調がすぐれない
・激しい疲労がある
・睡眠不足または徹夜明けである
・感染症にかかっている・発熱している
・アルコールを飲んだ、もしくはアルコールの影響が残っている
・妊娠中である
・生理中である
検査結果に影響が出る可能性があるため、体調がよく十分に睡眠が取れているタイミングで検査を受けましょう。採尿をしたときに血が混じっていたなど、普段と違う尿が出た場合も検査の精度に影響がある場合があります。
また、生理中や妊娠中の場合も尿の成分に影響が出て検査結果が正確に出にくい場合があるため、N-NOSEの受検は避けましょう。
年齢制限がある
N-NOSEを受検できる年齢には、制限があります。
15歳未満の方に対するN-NOSEは臨床試験中であるため、現在は受けられません。また、20歳未満の方が受ける場合は、医師の判断が必要です。
15歳以上20歳未満の方はN-NOSEを受検できますが、仮にハイリスクであるという判定が出たとしても、医師が必要と判断しない限りその後の検査を受けられません。
がん検診を受けられる年齢は各自治体によって決められていますが、基本的には20歳未満は対象外です。従って、精密ながん検査を受けるには、医師によって受検の必要性があると判断される必要があります。
検査前日・当日の制限がある
N-NOSEの検査前日から当日には、生活の制限があります。
採尿の前日は、飲酒を控えましょう。アルコールの影響で尿の成分が変化し、判定結果に影響が出る可能性があります。
採尿は空腹時に行う必要があるため、少なくとも食後4時間以上空けてから採尿を行いましょう。基本的に検査当日の朝食は控える必要があります。
当日の水分補給は問題ありませんが、コーヒー、お茶、炭酸飲料といった尿の成分に影響を与える可能性がある飲料は控えましょう。
N-NOSEの精度における注意
N-NOSEの精度は、数々の研究から明らかにされています。
検査の精度を測る指標は、主に感度と特異度の2つです。感度は正しく陽性と判定する精度の高さ、特異度は正しく陰性と判定する精度の高さを表しています。
2017年6月から2019年5月に行われた臨床研究によると、N-NOSEの感度は87.5%、特異度は90.2%です*1。
胃がん検診で行われている胃X線検査(バリウム検査)は感度70%から80%程度、特異度85%から90%程度*2、肺がん検診で行われている胸部X線検査の感度は63%から88%程度、特異度は95%から99%程度*3とされているため、ほかの検査と比較しても、N-NOSEの精度は決して低くないとわかります。
また、がん検診のがん発見率(要精検とされ精密検査をうけた人の中で、がんが発見された率)は、胃X線検査で1.9%*4、肺がん胸部X線検査で3.3%*4程度であり、要精検とされてもがんが見つからないケースも多くあります。したがって、これらの検査と同等の感度を持つN-NOSEでも、そのようなケースがあるということを知っておきましょう。
N-NOSEでは23種類のがんの可能性を一度に調べられますが、がん種(がんの部位)や進行度の特定はできません。(※「N-NOSE plus」では、すい臓がん・肝臓がんのリスク検査が可能)
最終的な診断をするためには必ず医療機関での精密検査が必要です。
*2 胃がん検診:[国立がん研究センター がん情報サービス]
*3 肺がん検診:[国立がん研究センター がん情報サービス]
*4 がん検診について:[国立がん研究センター がん情報サービス]より算出
\ N-NOSEを正しく理解し、がんの早期発見に /
N-NOSEを活用した理想のがん検査の流れ「一次スクリーニング」とは
「一次スクリーニング」は、N-NOSEを活用した新しい考え方のがん検査の流れです。多くの人が気軽に受けやすい簡便な検査を受けてがんの可能性を判定し、早期発見を目指します。
多くのがんでは、初期症状がほとんど現れないケースも珍しくありません。がんを早期発見するためには、症状がなくても検診を受けることが重要です。
しかし、時間的・身体的な負担から検査をためらう場合もあり、がん検診率は4割から5割程度にとどまります*4。
N-NOSEは痛みがなく、自宅で尿を採取してキットを郵送すればよいため手間もかかりません。N-NOSEなどの負担が抑えられる一次スクリーニング検査を定期的に受け、検査結果に応じて二次スクリーニングや医療機関での精密検査の受診を検討するのが、がんを早期発見するための理想的な流れです。
N-NOSEでがんを早期発見するメリット

ここからは、がんを早期発見するとどのようなメリットがあるのか解説します。
生存率につながる
早期がんを検出できれば、長期的な生存率向上にもつながると考えられます。
たとえば、日本人に多い5大がん(肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん)の生存率とステージの相関は、以下の表の通りです。
|
検査名 |
ステージ1 |
ステージ2 |
ステージ3 |
ステージ4 |
|---|---|---|---|---|
|
肺がん |
81.9% |
51.7% |
29.3% |
8.6% |
|
胃がん |
92.8% |
66.6% |
41.4% |
6.7% |
| 大腸がん |
92.3% |
86.1% |
76.0% |
18.4% |
|
肝臓がん |
63.2% |
45.2% |
17.4% |
5.6% |
|
乳がん |
99.0% |
94.7% |
81.1% |
40.5% |
ネット・サバイバルは、あるがんと診断されてから一定期間後に生存していた患者の割合(実測生存率)を、がんのみが死因となる状況を仮定して調整し、がん以外の死因による影響を小さくした値です。
上記の表からも、がんを早期に発見するほど5年後の生存率が高く、進行するほど低くなる傾向があるとわかります。
治療費や身体的負担を軽減できる
がんが進行してから発見されると、手術が大掛かりになったり、抗がん剤治療や放射線治療が必要となったり、治療が長期化したりして、経済的・身体的な負担が大きくなる傾向があります。
早期に発見できれば、負担が少ない治療法を選択できる可能性が高まり、入院期間や治療費が軽減できるでしょう。たとえば、胃がんや大腸がんなどの消化器がんでは、早期がんであればお腹を切らずに内視鏡でがんを切除する内視鏡治療を選択できる場合があります。
N-NOSEは定期検査コースで1回15,800円からと、継続して受けやすい価格設定も特徴です。
N-NOSEの特性を理解してがんの早期発見につなげよう

N-NOSEは、少量の尿で全身23種類のがんの可能性を調べられる検査です。痛みがなく、自宅で採尿して郵送すればよいため、忙しくても手軽に受けられます。
検査結果の信頼性を確保するために、年齢制限や検査前日・当日の過ごし方、キットの使用期限などの注意点を守って検査を行いましょう。また、N-NOSEで高リスク判定を受けた場合は放置せず、二次スクリーニングや医療機関での精密検査を受けることが重要です。
N-NOSEの特性を知った上で受検を検討し、がんの早期発見につなげましょう。
