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胃がんの初期症状とは?原因や早期発見のためのチェック方法

公開日:2025.08.18 更新日:
ソファに座り、腹部に手を当てて前かがみになっている女性
胃がんは、日本人に多くみられるがんの一つです。初期のうちはほとんど自覚症状がなく気づかないうちに進行してしまうケースもあります。発見が遅れると治療が難しくなるため、できるだけ早い段階での発見が重要です。 本記事では、胃がんの初期症状として現れやすいサインや進行した胃がんで現れる症状、早期発見するための検査方法について解説します。

胃がんとは|男性に多いがんの一つ

苦しそうな表情で腹部を押さえる中年男性

胃がんは、胃に発生する悪性の腫瘍です。胃は内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5層構造になっており、胃がんは最も内側の粘膜から発生します。

 

進行すると他の層へと広がっていき、胃の周辺にある大腸や膵臓、肝臓などの臓器に広がることもあります。

 

男性のほうが女性よりも罹患数が多い傾向にあり、国立がん研究センターの統計によると、2021年の胃がん罹患数は男性が76,828例、女性が36,053例です。

(参考: 『国立がん研究センター がん統計』 )

 

主な分類は分化型胃がんと未分化型胃がんの2種類

胃がんは、主に「分化型胃がん」と「未分化型胃がん」の2つに大別できます。

 

分化型胃がんは、がん細胞が正常な胃の粘膜のように固まりをつくり、まとまって増殖していくがんです。このタイプは進行スピードが比較的穏やかで、正常な組織との境界がわかりやすい特徴があります。

 

一方、未分化型胃がんは固まらずにバラバラと散らばっており、正常な胃の粘膜との境界がわかりにくいがんです。進行スピードが速く、がん細胞がリンパ液に乗って離れた場所で増殖する「リンパ節転移」が起きやすい傾向があります。

  

進行の早いスキルス胃がんがある

胃がんの中には、胃の粘膜の下で胃壁を厚くするように広がる「スキルス胃がん」というタイプもあります。スキルス胃がんは特に進行が早く、はっきりと盛り上がった腫瘍ができないため、内視鏡検査でも発見が困難です。従って早期発見が難しく、治療後の経過が悪い傾向があります。

 

おなかの中にがん細胞が散らばり腹腔を覆う膜(腹膜)にがんが転移する「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」が起こりやすい点も、スキルス胃がんの特徴です。腹膜播種が起きると手術だけではがんを取り切れないため、治療が難しくなるとされています。

  

リンパ節転移を起こしやすい

胃がんは、リンパ節転移を起こしやすいと考えられているがんの一つです。特に、未分化型胃がんやスキルス胃がんのような進行が早いタイプは転移を起こしやすい傾向があります。

 

胃から離れたリンパ節や臓器に転移していると治療の難易度が高まり、治療後の経過にも影響します。

 

胃がんは初期症状を発見しにくく、気づかないうちに進行してしまう可能性もあります。次の章で解説する胃がんの初期症状を日頃からチェックし、わずかな異変を見逃さないようにしましょう。

胃がんの初期症状とは?見逃しやすい5つのサイン

目を擦りながら寝間着で食事をする男性

胃がんは初期症状が乏しく、症状が出たとしても胃がん以外の病気でも現れるような一般的なものが大半です。症状だけでは胃がんと判断できず、胃炎や胃潰瘍などの病気を疑って検査をしたときに偶然見つかる場合もあります。

 

ここからは、胃がんの可能性が疑われる初期症状を解説します。

  

胸やけや胃のムカつき

胸やけや胃のムカつきは、病気がなくても胃酸が逆流したときや脂肪分の多いものを食べたときなどによくみられる症状です。しかし、胃がんの初期症状として胸やけ・胃のムカつきが生じる場合もあります。

 

「食べすぎたせいだろう」「忙しくてストレスがたまっているせいだろう」と見過ごしてしまいがちですが、症状が続く場合には検査を受けましょう。特に、普段と変わらない食生活でも以前より頻繁に胸やけやムカつきを感じる場合は注意が必要です

  

吐き気・食欲不振

吐き気や食欲不振も、胃がんの初期症状として現れることがあるサインの一つです。ただし、感染症や胃の炎症、ストレスなどの原因でもよく起こる症状であるため、直ちに胃がんと結びつけられるわけではありません。

 

少量食べただけでおなかがいっぱいになってしまう場合や、胃を休めてもなかなか症状が改善しない場合は消化器内科などの医療機関を受診しましょう。仮に胃がんではなくても、消化器に何らかの異常がある可能性があります。

  

体重減少

食べ物の通り道に胃がんができたり、がんが大きくなってきておなかを圧迫したりすると、食事の量が減って体重が減少することがあります。また胃がんに限らずどのがんでも進行すると、代謝に異常が起きて摂取した栄養をうまく活用できず、体重が減る場合もあります。

 

ダイエットをしているわけではないのに急激に体重が落ちた場合、医療機関を受診しましょう。がんや消化器疾患のほか、糖尿病や甲状腺の病気が体重減少の原因となる可能性もあります。

  

みぞおちの不快感や軽い痛み

胃がんによって胃壁が深くまで傷ついて潰瘍(かいよう)ができている場合、みぞおちの不快感や痛みが出ます。このような症状はストレスや生活習慣の乱れでも生じますが、胃がんや胃潰瘍などの病気が原因で生じている可能性もあるため、軽く考えずに検査を受けましょう。

 

黒色便(タール便)・貧血

黒い色の便(いわゆるタール便)が出る場合、胃や食道、十二指腸のいずれかから出血が起きている可能性があります。出血によって、目まいやふらつきなどの貧血症状が起きる場合もあります。

 

がんからの出血による黒色便や貧血は、胃がんの初期症状の一つです。ただし、黒色便が出ている場合は初期ではなく、すでに進行している可能性もあります。次の章では、進行した場合にみられる症状を解説します。

胃がんの初期症状が進行するとみられる症状

がんが胃の粘膜下層までにとどまっている状態を早期胃がん、固有筋層より深くまで進行した状態を進行胃がんと呼びます。

 

進行胃がんになるとさまざまな消化器症状が現れやすくなり、転移している場合には転移した部位に応じた症状が現れる場合もあります

 

<進行胃がんでみられる症状の例>

・胃の痛みが強くなる

・おなかが張っている

・食欲不振や吐き気が続く

・体重減少が著しい

・黒色便(タール便)が出る

・吐血や下血がある

・目まいやふらつきなどの貧血症状が出る

・食べたものがつかえるような感覚がある

・腹部や背中が激しく痛む

・強いだるさや黄疸(皮膚や白目が黄色っぽくなること)がある

 

これらの症状にどれか一つでも当てはまるなら、医療機関を受診しましょう。

胃がんの初期症状が進行した後の生存率は?再発の可能性

胃がんは、早期発見・早期治療できれば全がんの中でも治療後の経過が良好とされているがんです

 

しかし、リンパ節や遠隔臓器への転移が起こっている場合、経過が悪くなる傾向があります。また、進行するほど治療後の再発率も高まります。

 

がんの治療後の経過を表す指標の一つに、がんの診断から5年後に生存している人の割合を示す「5年相対生存率」があります。これは、死因にかかわらない実際の生存率(実測生存率)を年齢や性別などの要素によって調整し、そのがん以外の原因で死亡した人の影響を小さくした値です。

 

国立がん研究センターが公表している『地域がん登録によるがん生存率データ(1993年~2011年診断例)(5年生存率)』によると、進行度別の5年相対生存率は以下の通りです。

 

・ステージ0-Ⅰ(がんが原発臓器である胃にとどまっているもの):96.7%

・ステージⅡ-Ⅲ(胃に近いリンパ節や臓器に転移しているもの):51.9%

・ステージⅣ(胃から離れたリンパ節や臓器に転移しているもの):6.6%


(参考: 『地域がん登録によるがん生存率データ(1993年~2011年診断例)(5年生存率)』 )

胃がんの原因やなりやすい人

胃がんは、胃の粘膜が突然変異を起こしてがん細胞となり、異常に増殖して発症します。胃がんのリスクを高める代表的な要因には、以下のようなものがあります。

 

・ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)への感染

・喫煙

・塩分の取りすぎ など

 

中でもピロリ菌の感染は、影響が大きいとされているリスク要因です。

 

ピロリ菌は胃に棲みつく細菌で、長期間かけて胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。すると胃全体の粘膜が傷つき、胃がんの発症リスクが上がると考えられています。

 

また、たばこには多くの発がん性物質が含まれており、喫煙していると胃がんや肺がんなど多くのがんの発症リスクが上がるとされています。

 

胃がんでは、塩分過多にも注意が必要です。胃の中の塩分濃度が高くなると粘膜が傷ついて炎症を起こし、発がん性物質の影響を受けやすい状態になると考えられています。

胃がんの初期症状の発見は難しい!早期に胃がんをチェックする方法

胃がん検診の記録写真や検便キットと健診の案内

胃がんは初期段階では自覚症状が少なく、症状から発見するのは困難です。

 

症状がなくても定期的に検診を受け、積極的に胃の状態を確認しましょう。ここからは、胃がんのチェックに役立つ検査方法を紹介します。

  

内視鏡検査やCT検査を受ける

胃がんを早期に発見するために有効なのが、内視鏡検査とCT検査です

 

内視鏡検査は、口や鼻から内視鏡を挿入し、胃の内部を直接観察する検査です。内視鏡検査ではわずかな色の違いや小さな凹凸も確認できるため、バリウム検査などの画像検査では見つけるのが難しい早期の胃がんも発見しやすい特徴があります。

 

がんが疑われる病変を見つけたらその場で組織を採取し、詳しく調べることもできます。

 

一方CT検査は、X線を使用して体を輪切りにしたような画像を撮影する検査です。がんの深さや、周囲の臓器・リンパ節への広がりを確認する際に有効な検査とされています。

 

自宅で手軽にがんの有無を検査できる一次スクリーニング検査

内視鏡検査やCT検査は胃がんの発見や進行度の確認に有効な検査ですが、体への負担の大きさや時間面・経済面の理由から受診に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。

 

そのような場合は、自宅でがんの有無を検査できる一次スクリーニングを行う方法もあります。

 

一次スクリーニングとは、自覚症状のない一般の人々を対象として、がんの兆候を調べる新しい概念の検査です。部位別の精密な検査に進む前に、体への負担が少ない方法で定期的に検査を行えば、がんの早期発見が期待できます。

 

例えば、尿に含まれるがんの匂いに敏感に反応する線虫の性質を利用して、全身のがんを網羅的に調べる方法などがあります。このような検査では、尿を採取して送るだけなので、痛みはありません。

 

一次スクリーニング検査で異常が見つかった場合は、がん種を特定する二次スクリーニング検査を受け、さらに医療機関での精密検査で進行度や広がりを調べる流れが理想的です

胃がんの初期症状の発見は困難!早期発見のために定期的に検査を受けよう

胸に手を当てて医師に相談する男性

胃がんは初期症状が乏しく、気づいたときにはすでに進行しているケースも珍しくありません。胃の痛みや不快感、黒色便など、異変を感じたら放置せずに検査を受けましょう。

 

内視鏡検査やCT検査は、胃がんの発見や進行度の確認に有効ですが、抵抗がある場合はまず一次スクリーニング検査を受けて、がんの有無を調べるのがおすすめです。定期的に胃がんの検査を受け、早期発見・早期治療につなげましょう。

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