「N-NOSE plus すい臓」発明までの道のり

「N-NOSE plus すい臓」は、以下のプロセスで発明されました。

すい臓がんの
匂い受容体の同定

線虫は頭部にある嗅覚神経で匂いを感じます。がんの匂いも嗅覚神経AWCで受容することがわかっています。匂い物質は、嗅覚受容体という分子で受容されます。嗅覚受容体は遺伝子としてコードされており、線虫には1200種類以上あると言われています。

がん探知犬の研究により、がん種によって匂いが違うことが報告されています。つまり、がん種によって匂いを受けとる受容体も違うと予想されます。もしその受容体が同定
できれば、遺伝子操作技術により受容体をたくさん働かせる、あるいは機能を抑えれば、特定のがん種にのみ反応性の変わる線虫を作ることができるはずです。
その反応性の違いを指標にすれば、がん種を特定できるのではないか?この発想をもとに、がん種ごとの匂いを受け取る受容体の探索を開始しました。1200個から1個を見つける試みです。
当社は何年もかけて膨大な数の実験を行い、すい臓がんの受容体候補遺伝子cr-4を見つけることに成功しました。

cr-4遺伝子のAWC嗅覚神経の
発現を確認

もし嗅覚受容体として働いているなら、嗅覚神経で発現していると予想されます。これはcr-4遺伝子が、AWC嗅覚神経において発現していることを確認するための実験です。蛍光タンパク質(Venus)によりcr-4が発現している神経を示しています(左図、緑色)。これが、AWC神経の位置を示すマーカー(中央、赤色)とオーバーラップしていることから(右図、白色矢頭)、cr-4遺伝子が実際にAWC嗅覚神経で発現していることが分かります。

cr-4遺伝子の有無が、
すい臓がんへの誘引行動を
変化させることを確認

※青・オレンジの4組の棒グラフは、異なる4検体についての結果を示す。

cr-4遺伝子をRNAi(RNA干渉法。二本鎖RNAにより遺伝子の発現を抑制する)によってノックダウンすると、すい臓がん患者の尿に対する誘引行動が見られなくなりました(上図、オレンジのバー)。

※青・オレンジの4組の棒グラフは、異なる4検体についての結果を示す。

cr-4変異株(上図、青の棒グラフ)は、cr-4 RNAi株と同様すい臓がんに対しては誘引行動を示しませんが、正常なcr-4遺伝子を外来遺伝子としてこの変異株へ導入すると、誘引行動の欠損が回復しました(上図、赤矢印)。

これら2つの結果は、cr-4遺伝子が、すい臓がんの尿への誘引行動を変えるための、必要かつ十分な条件であることを示しています。

cr-4変異株がすい臓がんの
尿検体に対してのみ
特徴的な応答を示すことを確認

cr-4変異株はすい臓がんの尿検体に対してのみ特徴的な応答を示します。すい臓がん、肺がん、子宮体がん、 前立腺がん、食道がんについて、通常の線虫とcr-4変異株でテストしたときの反応(複数検体の平均)を示しています。cr-4変異株は、すい臓がんにのみ誘引行動を示さない(値がマイナス)ことから、この特徴を利用すれば、高精度にすい臓がんと他のがん種を区別することが可能となります。

検査センターの
自動解析装置での検証

これまで紹介した、さまざまな基礎研究を経て、cr-4変異株は検査センターへ送られました。「N-NOSE plusすい臓」実用化に向けて、自動解析装置での検証を行うためです。通常の線虫と、cr-4変異株で、すい臓がんとそのほかのがん(肺がん、子宮がん、乳がん、胃がん、大腸がん)について、テストを行いました。得られたデータを解析した結果、自動解析装置でも、すい臓がんとその他のがんを区別することが可能であることを確認しました。

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